この歌を
私たちに
惜しみない愛を注いでくれた
犬たちに捧げる
ジョージ・グレアム・ベストのスピーチ 「陪審員のみなさん。この世の中では親友でさえあなたを裏切り、敵となることがある。 愛情を込めて育てた息子や娘も、深い親の恩をすっかり忘れてしまうかもしれない。 あなたが心から信頼している、もっとも身近な愛する人もその忠節を翻すかもしれない。 富はいつか失われるかもしれない。もっとも必要とするときにあなたの手にあるとはかぎらない。 名声はたったひとつの思慮に欠けた行為によって、瞬時に地に墜ちてしまうこともある。 成功に輝いているときには跪いて敬ってくれた者が、失敗の暗雲があなたの頭上を翳らせた途端に豹変し、悪意の石つぶてを投げつけるかもしれない。 こんな利己的な世の中で、けっして裏切らない、恩知らずでも不誠実でもない、絶対不変の唯一の友はあなたの犬だ。 あなたの犬は富めるときも貧しきときも、健やかなるときも病めるときも、常にあなたを助ける。 冷たい風が吹きつけ、雪が激しく降るときも、主人のそばならば冷たい土の上で眠るだろう。 与えるべき食物が何ひとつなくても、手を差し伸べればキスしてくれ、世間の荒波に揉まれた傷や痛手を優しく舐めてくれるだろう。 犬は貧しい民の眠りを、まるで王子の眠りのごとく守ってくれる。 友がひとり残らずあなたを見捨て立ち去っても、犬は見捨てはしない。 富を失い、名誉が地に墜ちても、犬はあたかも日々天空を旅する太陽のごとく、変わることなくあなたを愛する。 たとえ運命の力で友も住む家もない地の果てへ追いやられても、忠実な犬は伴にあること以外何も望まず、あなたを危険から守り、敵と戦う。 すべての終わりがきて、死があなたを抱き取り、骸が冷たい土の下に葬られるとき、人々が立ち去った墓の傍らには、前脚の間に頭を垂れた気高い犬がいる。 その目は悲しみに曇りながらも、油断なくあたりを見まわし、死者に対してさえも忠実さと真実に満ちている。・・・」 ---------- オールドドラムという名前の猟犬が、1869年に羊飼いに射殺され、犬の飼い主が犬を殺した相手に訴訟を起こしたときの弁護士がベストでした。 1870年の裁判で、最後の弁論を述べるとき、事件そのものでなく、犬という動物のやさしさや忠実さを褒め称え、そのスピーチが有名になりました。
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